本日のベッピン

やっと名医をつかまえた―脳外科手術までの七十七日 新潮文庫
下田 治美 (著)

日経ビジネス
横浜市立大学病院での患者の取り違えなど、信じられないような医療事故が最近目立つ。持病を抱えた人や手術を控えた患者にしてみれば、不安もなおさらだろう。

本書は脳動脈瘤の治療のために「クリッピング手術」という危険な開頭手術を受けた著者の体験談だ。執刀医への不信感から手術前夜に病院を"脱走"した著者が、自分の命を安心して預けられる名医を探し出し、手術を成功させるまでを記録した。

様々な資料やインターネットからリストアップした十数人の医師に片っ端から面接を求め、「これだ」と思う医師を見つけた著者の努力もさることながら、他の医師などからの紹介もない患者に対し快く時間を割き、丁寧に病状を説明した執刀医の姿勢にも敬服させられる。

医師と患者が治療方針について意思疎通を図る「インフォームドコンセント」を根づかせるには、医師の意識改革はもちろん、患者の側にも安心できる医師を自力で探そうとする努力が必要だと認識させてくれる。


(日経ビジネス1999/6/21号 Copyright©日経BP社.All rights reserved.)
このレビューは、同タイトルの 単行本のレビューから転載されています。

内容(「BOOK」データベースより)
わたしを悩ますナゾの頭痛の正体は「脳動脈瘤」。いつ破裂してもおかしくないバクダンを抱え、危険な手術を決意するが、巡り合うのはなぜか迷医ばかり。点滴もできない未熟者、患者を怒鳴りつける冷血漢、病名まで間違えられて、本当にこのままじゃ殺される!手術前夜、病院から逃走した時、真の闘病が始まった―。へこたれない女、あきらめない患者の、命をかけた名医探し奮戦記。


内容(「MARC」データベースより)
この医者に任せたら殺される…。手術前夜、わたしは病院を脱走した。頭の中にいつ破裂するともしれない動脈瘤をかかえたまま、無知なナースや患者を怒鳴りつける医者と格闘し、悩み、苦しみ、涙した日々を綴る。

やっと名医をつかまえた―脳外科手術までの七十七日 (新潮文庫)

やっと名医をつかまえた―脳外科手術までの七十七日 (新潮文庫)

やっと名医をつかまえた―脳外科手術までの七十七日 (新潮文庫)