本日のベッピン

天才たちのDNA―才能の謎に迫る (単行本)
鈴木 光司 (著), 塩田 久嗣

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人気作家鈴木光司と26人の「天才」たちとの対談集であり、登場するのは、落語家、ピアニスト、レーサー、棋士歌人能楽師、映画監督、脳機能学者といった、さまざまな分野で突出した才能を発揮している人々だ。
ほかの対談集とひと味違うのは、脳波解析システムによって、各人の「ストレス」や「リラックス」の度合い、あるいは「α波・β波」を測定し、そのリポート結果が併記されている点である。常に「周りのすべての情報・刺激に即座に反応できるような脳の状態になっている」プロレスラーの桜庭和志。一人三役の腹話術を行っているとき、「新しい神経ネットワークを機能させている」いっこく堂。女性との会話の際の集中度が「群を抜いて高い」AV男優の加藤鷹。科学的に検証される天才たちの脳は、まさに千差万別で、共通するのは「好きなことを仕事にしている」という、実に平凡なことだったりするからおもしろい。

「天才とは何か」と聞かれ、「99%の努力と、1%のひらめき」と答えた発明王エジソンは、生涯に3400冊もの研究ノートを記したという。天才の非凡な能力を支えるのは、愚直なまでの仕事への情熱と愛着であり、それは本書の天才たちにも通じる。また、エジソンは「休むことは錆びることだ」とも言っている。自らの仕事を「大好き」と言い切る著者も、「自分に才能があるのか、ないのか、客観的に見極めるため」に小説を書きつづけると語る。天才とは、休むことなく第一線で走り続けている人のことでもある。(中島正敏)


天才たちのDNA―才能の謎に迫る

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