本日のベッピン

潜入ルポ アマゾン・ドット・コムの光と影―躍進するIT企業・階層化する労働現場
横田 増生 (著)

日経BP企画
アマゾン・ドット・コムの光と影
 日本市場に浸透し、急成長を遂げつつあるアマゾンジャパン。徹底した秘密主義の裏側では、何が進んでいるのか。元物流業界紙編集長の著者が物流センターの作業員として半年間働き、その内部事情をリポートした。
 明らかになるのは、見事なまでのアルバイト活用術である。時給900円のアルバイトたちは広大なスペースを走り回り、指示された本を探し出して抜き出す。ノルマは「1分3冊」。毎月、個人の作業データを基にした成績表が作られ、成績が良くないアルバイトは2カ月ごとの契約更新時に契約が打ち切られる。厳しいノルマとコンピューターの監視によって、アルバイトたちが一瞬たりとも気を抜くことがないよう、管理しているのである。

 ドライな雇用関係によってコスト管理を徹底する一方で、アマゾンジャパンの注文件数は日々拡大している。バイト仲間から「2003年の売り上げが500億円を超えたらしい」という話を聞いた著者は、関係者への取材などから、この数字がほぼ間違いないことを突き止める。出版社との直接取引を増やそうとしていること、アマゾン限定の商品開発に取り組んでいることなども明らかにし、アマゾンという“黒船”が、静かに、着実に日本の出版業界を変質させていると指摘する。

アマゾン・ドット・コムの光と影

アマゾン・ドット・コムの光と影

アマゾン・ドット・コムの光と影