本日のベッピン

気がつくと 机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ

膨大な時間の消費 情報と物 7つの要件 10年後がわかる

机の上が乱雑だからってどこが悪い、と思っていた。実際、悪いことではない。
でも本書を読むと、乱雑な机は恐るべき人生の浪費であることがわかる。冒頭で紹介されている統計──平均的なビジネスマンは探しものをするためだけに1年間に1500時間を浪費している──は実にショッキングだ。実に1か月弱をかけて(1日8時間労働の場合)、何かを探しまわっているということになるのだから。

膨大な時間の浪費を防ぐためには、増える一方の情報や物を上手に片づけ、効率よくさばくしかない。本書で紹介されている整理法は6つのステップで構成されている。

机のレイアウト、スケジュール管理、ファイル、情報の優先順位の付け方など、それぞれのステップは1週間で終わる。そのノウハウはきわめて具体的。整理用の箱の選び方から引き出しの作り方、ペン立てやゴミ箱、手帳の選び方、未決書類の扱い方、郵便物の仕分け方まで、手取り足取り教えてくれる。

考えさせられる指摘も多い。たとえば「6か月以上保存しているものの95%はゴミ」「“あとで”というときは永久にやってこない」「人は普通、7つの用件しか覚えていられない」などなど。

ただし、本書が示唆しているのは、単なる整理整頓の技術だけではない。あふれる情報や物の混沌状態から脱出する究極のコツは、どうやら「優先順位を決める」ことにある。それは人生をいかに生きるか、につながっていく。「ある人の“今日の用件リスト”を見れば、10年後が推測できる」と、著者は言う。優先順位とはつまるところ、その人の価値観や目標の反映なのだ。机の上だけでなく、生活がぐちゃぐちゃになっている人、人生がぐちゃぐちゃになっている人にもおすすめしたい。(栗原紀子)


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